貸金返還請求書(内容証明郵便の書き方と文例)

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貸金返還請求書〔内容証明書の雛形と例文〕

お金を請求する典型的なケースの一つが、「貸したお金を返してもらいたい」場合でしょう。次のサンプルを見てください。

(貸金返還請求書の内容証明書テンプレート・雛形)
この内容証明郵便の文例は横26字以内・縦20行以内の書式で書いています。

 

貸金返還請求書

平成○年○月○日、私は貴殿に対して金○○万円を、利息年○割、弁済期を平成○年○月○日と定めてお貸ししましたが、現在に至るも全く返済されておりません。
つきましては、本書到達後7日以内に金○○万円およびこれに対する平成○年○月○日から完済まで年○割による利息を付してお支払いくださるよう請求いたします。 もし右期間内にお支払いなき場合には、法的手段をとらざるを得なくなりますのでご了承ください。

平成○年○月○日

東京都調布市○○町1-1
鈴木次郎 
埼玉県さいたま市○○町1-1
山田花子 殿

 

貸し金の請求は民法の知識が必要

貸し金の返還請求の内容証明郵便を書くには、民法の知識が必要になります。これを理解していないと、つじつまが合わなくなることがあります。 内容証明郵便を相手に送ってしまうと、相手がこちらの内容証明郵便を証拠として使うこともできますので、よくわからない場合は十分調べます。

貸金の期限の定め

貸金には、大きく分けて期限の定めのある場合と期限の定めの無い場合があります。 期限の定めのある場合とは、「何月何日に返済せよ」とお金を貸すときに、両者においてすでに返済期日を決めてある場合のことです。期限の定めの無い場合とは、「そのうち返済する」ですとか、「出世払い」などがそうです。具体的な日付が決まっていない場合のことです。 これによって、内容証明郵便の書き方が少し違ってきます。たとえば、期限の定めの無い場合、債務者(お金を借りた人)は債権者(お金を貸した人)から、「そろそろお金を返してほしい」と請求されて初めて返済義務が生じます。 にもかかわらず、債権者が、まだ一度も請求していない債務者に「返済しなければ法的手段をとる」との内容証明を送ったのでは、債務者は困惑することでしょう。これは、お金を返してもらおうと債権者が焦って、間違えやすいところです。 サンプルは期限の定めがある場合です。

契約書がなくても契約は成立している

貸金は、法的には「金銭消費貸借契約」という契約類型に当たります。個人間でのお金の貸し借りの際には、契約書などの書面がない場合もあると思います。 しかし、消費貸借契約に限らず、すべての契約は、口頭の合意(=口約束)だけでも成立するというのが法律の原則です。したがって、契約書をつくったりしていなくても、現実にお金を貸した事実と、貸した際に「このお金はいついつまでに返します」ということで相手が了承していれば、消費貸借契約が成立します。

貸金請求書のタイトル

見出しは「通知書」という一般的なタイトルでかまいません。または、貸金請求書でもよいでしょう。

貸金請求書・書き方のポイント

冒頭では、相手に対して、何を請求をするのかという基本的な事実関係を特定しておきます。ここでは、貸金の返済を請求するわけですから、いつ、どのような約束でお金を貸したのかを具体的な事実として書きます。 最低限、(1)お金を貸し付けた日、(2)貸付金額、(3)返済期日を具体的に書き入れることになります。

貸金請求書の利息

利息については、特に当事者間で定めなくても、法定金利といって、年5パーセントの金利を請求することが出来ます。(商人間の取引による場合は、年6パーセントです)。 なお、金利については、利息制限法という法律で上限が決められています。当事者間で合意したとしても、10万円未満の貸付では年20パーセント以下、10万円以上100万円未満の貸付では年15パーセント以下でなくてはなりません。それを超えた金利の約束をしても、利息制限法によって無効されます。

貸金請求書の遅延損害金

弁済期の過ぎた貸金を請求するときは、遅延損害金を請求できます。遅延損害金は、無利息の約束で貸した場合にも請求できます。遅延損害金の利率は、あらかじめ約定があればそれになります。利息は決めたけれども、遅延損害金を決めていないときには、利息と同じ利率となります。 利息を支払ってもらうことは決めたけれども、その利率を決めていないときや、無利息の約束で遅延損害金について決めていないときは、商人でないもの同士のときが年5パーセントで、商人間(一方が商人の場合も含む)のときが年6パーセントです。

貸金請求書と法的手段

文例には、最後に「もし、右期間内にお支払いなき場合には、訴訟、強制執行その他の法的手段を・・・」と書いてありますが、状況や相手に応じて、そういう表現を入れるか入れないか、臨機応変に対処すべきです。 法的手段を起こすと内容証明郵便に書いて、実際には法的手段を起こさなかったとしても何も問題はありません。法的手段は「権利」であって「義務」ではないので、内容証明郵便に書いたとしても約束違反になることはありません。