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少額訴訟の審理はどうなっている

訴状が受理された後は口頭弁論

まず訴状が受理されると、第1回口頭弁論期日が指定され、呼出状が交付されます。
口頭弁論期日までに、当事者はすべての攻撃防御方法を提出しなければなりません。
ですから、迅速に事実を整理し、証拠を収集する必要があります。
この準備段階で、個々の事実について、裁判所書記官から説明を求められたり、立証が促されることもあります。

さらに、期日直前には、裁判所書記官が当事者に面会して、証書などの確認が行われることもあります。
こうして準備が整えられ、口頭弁論期日が開かれると、裁判官は、次のような事項を当事者に対して説明します。

  1. 証拠調べは、すぐに取り調べることができる証拠に限り可能であること
  2. 被告は、訴訟を通常の手続きに移行させることができるが、被告が最初にすべき口頭弁論期日において弁論をし、またその期日が終了した後は、この限りではないこと
  3. 少額訴訟の終局判決に対しては、判決書または判決書に代わる調書の送達を受けた日から 2週間以内に、その判決をした簡易裁判所に異議を申し立てることができること

少額訴訟手続きは、原告が一方的に選択するものなので、被告の防御利益が害される恐れもあります。
そこで、民事訴訟法は、被告の利益を保護するため、被告には最初の口頭弁論期日に通常の訴訟手続きに移行するよう求める権利が与えられています。

ただし、被告が最初の口頭弁論期日に弁論をするか、しない場合でも、その期日が終了してしまった場合には、通常の訴訟手続きに移行させる旨の申出はできなくなります。
これらの説明がなされた後は通常の訴訟と同様の手続きがとられます。
最初に原告の提出した訴状の陳述、そして被告の答弁書の陳述が行われます。

原告と被告がそれぞれの言い分は訴状あるいは答弁書の通りであることを陳述することにより、訴状・答弁書の読み上げが行われたものとみなされます。
当事者双方の陳述が終わったら、争いがある事実について、証拠調べが行われます。
証人がいる場合にはその証言を得、さらにさまざまな証拠を調べて被告と原告の争点を明確にし、事実を認定することになります。

なお、承認あるいは当事者本人の尋問は、裁判官が相当と認める順序で行うことになっています。
口頭弁論が終わると、ただちに判決が言い渡されます。
この時、原告の請求を認める判決がなされた場合は、被告の資力などを考慮して、3年以内の分割払いや訴え提起後の遅延損害金の支払い義務を免除する分割払いが命じられることもあります。

言い渡された判決は、裁判所書記官によって、口頭弁論調書に記載されます。
判決に対して不服がある場合、当事者は、控訴はできませんが、異議の申立てを行うことができます。
異議が認められると、訴訟は、口頭弁論終結前の段階に復し、通常の民事訴訟手続きにより審理されることになります。

証拠書類はいつ提出するのか

通常の訴訟であれば、数回の期日を経ることによって裁判官の心証が少しずつ積み重ねられていきますが、少額訴訟の場合は「一期日審理」が原則ですから、審理当日にいかに証拠書類がそろっているかが判決の重要な決め手となります(少額訴訟の証拠調べは、すぐに取り調べることができる証拠に限られています)。

証拠書類の提出は、通常の訴訟と同じで期日当日に行いますが、訴状には証拠書類のコピーを添付することが必要です。

通常訴訟とは法廷の仕組みが異なる

少額訴訟は通常の訴訟の煩雑な手続きを簡略化し、誰でも簡単に利用できるようにという考慮のもとにつくられた制度です。
このため、審理も心理的に圧迫感の少ないラウンドテーブルの法廷で開かれるようになっています。

通常の訴訟では裁判官が一段高いところに座り、原告と被告がその左右に向い合って座る厳粛な法廷で審理が開かれますが、少額訴訟の場合は裁判官も当事者も高低なく座って審理が進められていきます。

少額訴訟を起こす人は一般人が多いため、ラウンドテーブル型の法廷で審理を行うことによって心理的に不必要なプレッシャーを受けずに陳述などを行うことができます。